俺たちは大学の旅行サークルで知り合って付き合う事になった。
彼女の名前は葵で俺の名前は達也。
大学卒業後も何度も二人で旅行に行き、もうちょっとでプロポーズかなと考えていた頃の話だ。
俺たちは旅行先の公園でとある少女と出会った。
その時に起こったとても奇妙な出来事の事を話そうと思う。
旅行が趣味の俺たちは社会人になってからも時間を見つけては旅行を楽しんでいた。
有名観光名所から、マイナーなところまで行先はまちまちだ。
その週末はかつては賑わっていた温泉街を訪れていた。
今となっては温泉は枯れ、観光客の姿も無く閑散としてしまっている。
昔は旅館が何軒も立ち並んでいたらしいのだが、今はかろうじてぼろい民宿が1軒だけという有様だ。
俺たちはその民宿にチェックインを済まして、かつての温泉街を散策することにした。
メインの通りだけでも雨戸が閉じられたり、人気の無い建物が多数見受けられた。
住んでいる人も老人ばかりで若い人の姿はどこにも無かった。
脇道を入るとそこに小さな公園が有ったのだが、珍しく子供が遊んでいた。
小学校に入ったくらいの年齢だろうか。
俺たちは子供が珍しかったので声を掛けてみた。
これが奇妙な出来事の始まりだ。
「ねぇ、一人なの?」
「うん。子供は他に居ないんだ。おねーちゃん、一緒に遊ぼっ!」
俺たちは顔を見合わせて肯くと、彼女と一緒に遊んであげる事にした。
「何して遊ぽっか?」
「んとね~、ままごと!!」
「じゃあ、君・・・名前は何ていうの?」
「マコって言うの。私お姉ちゃん役やりたい!」
「それじゃ、私がママでこっちのお兄ちゃんがパパで良いのかな?」
「赤ちゃんが居ないとお姉ちゃん役できないよ!
お姉ちゃんがママ役で、お兄ちゃんは赤ちゃん役ね!」
勝手に役が決められてしまった。
赤ちゃんに!俺はなる!バブーッ!!
「そっか、それじゃマコちゃんがお姉ちゃん役で私がママ役ね。
それだとパパが居ないけどどうしよう?」
「パパはね、お腹の大きなママを残して蒸発して居なくなっちゃったの!」
「・・・。」
最近の子供は何と言うか・・・いや、マコちゃんの家庭が実際にそうなのかもしれない。
「それじゃ、赤ちゃん役のお兄ちゃんはママのお腹の中に入ってね!」
そう言うとマコちゃんは何語かわからない呪文の様な言葉を唱え始めた。
俺たちはポカンとした表情でただそれを眺めていたのだった。
彼女が唱え終わると俺の身体が急に輝きだした。
俺の身体は熱くなり、強烈な眩暈が襲ってきたのだった。
俺の身体は光を放ちながら徐々に小さくなっていきやがてゴマ粒ほどまで小さくなってしまったのだ。
「ほら、ママ!早く赤ちゃんをお腹に入れてあげて~!」
「え?ちょっと噓でしょ?!?」
目の前で俺が姿を消した事が理解できずに慌てふためく彼女。
そこにマコちゃんが追い打ちをかける。
「早くしてあげないと赤ちゃん死んじゃうよ?」
「!?」
彼女も俺も理解が追い付かない。
俺は小さくなって空中に浮かんでいた。
視界には山の様に巨大になった葵とマコちゃんが映っている。
理解は追いつかないが、このままだと俺が死んでしまうという事だけは理解できた。
「ど・・・どうすれば助けられるの!?」
「ママの赤ちゃんのお部屋に入れてあげるんだよ。」
マコちゃんがまた呪文を唱えると彼女の穿いていたパンツが自然と下がり、ゴマ粒ほどに小さくなった俺の身体は葵の中へと入り込んでいった。
「ええっ、嘘でしょ!?」
彼女はあまりの衝撃で言葉を失った。
俺はと言うと、身動きが取れないまま不思議な力で巨大な彼女の股間に近づいて行きそのまま彼女の割れ目に吸い込まれてしまった。
彼女の中をゆっくりと遡っていく。
ピンク色の長い洞窟の奥までたどり着くと、今度は突き当りにあるぷっくらと膨らんだ子宮口の穴の中に吸い込まれてしまった。
やがて彼女の最奥、赤ちゃんの部屋までたどり着いてしまった訳だ。
「じゃあ、ママ!元気な赤ちゃん産んでね!私お姉ちゃんになるから!」
俺の身体が葵の子宮に着地すると今度は少しずつ身体が大きくなり始めたのだ。
彼女は下腹部に手を当てて自分の中で徐々に大きくなる存在が有ることを理解した。
「うそっ!本当に!?」
最初はドーム球場の様に大きかった部屋が徐々に狭く感じるようになった。
いや、俺の身体が大きくなって相対的に狭くなっているのだ。
やがて納まりきらなくなると、今度は俺の身体が葵を内側から押し広げ始めたのだ。
「うっ・・・狭い・・・。」
彼女の方は大丈夫なのだろうか?
「いっ・・・痛い痛い!やだやだっ!止めて!止めて!!」
自分の子宮を内側から急激に押し広げられる痛みに彼女は悶え苦しみ始めた。
そんな時にマコちゃんがまた呪文を唱え終わるとこう言った。
「痛いの痛いの飛んでいけ~!!」
するとどうだろう。彼女の痛みが急激に引いた様だ。
最初は狭く苦しかったのだが、今では魔法のお陰なのか快適だ。
俺は彼女の中で膝を抱えるように丸くなっていた。
彼女は痛みが引いて心に余裕が出てきたのか、自分の状態を把握しつつあった。
「ね、ねえ。達也、私の中に居るんだよね?」
俺は手でポコッと叩いて返事をした。
「ねぇ、ママ!お腹の中の赤ちゃんが動いたよ!」
葵のお腹に手を当てていたマコちゃんが嬉しそうに話す声が彼女の肉体を伝って聞こえてきた。
はぁ、それにしても胎内ってこんなにも落ち着くもんなんだなぁ・・・。
まさかこの歳になって再び赤ちゃんになるとは思ってもいなかった。
柔らかい彼女の子宮に包まれ守られているような錯覚に陥る。
ザザザザーーーーッ。
こんな状況であるのに彼女の血管を流れる血液の音が俺の心を落ち着かせてくれていた。
「早く生まれてこないかなぁ~。」
マコちゃんがお腹に話しかけている様だ。
彼女のお腹はもう大きく張り出し、まるで臨月のお母さんの様だ。
「ああっ・・・産まれる!産まれちゃう!」
その間も俺の身体は大きくなり続け、やがてその時を迎える。
俺の身体は押し出されるように出口に向かって移動を始める。
子宮口を俺の頭が内側から押し広げていく。
痛みはマコちゃんの魔法(?)で感じてはいない様だ。
葵が息む度に俺の身体は彼女の中をゆっくりゆっくりと進んでいく。
頭が外気に触れる。
しばらく息んだ後、彼女は最後に大きく息んだ。
彼女の中があまりにも心地よかったので名残惜しかったのだがいつまでも彼女の中にはいられない。
俺は彼女の胎内から再び外の世界へと産み落とされたのだ。
「ふぅ・・・ふぅ・・・。」
大きく肩で息をする彼女の姿がそこにはあった。
何故かその表情は朱に染まり、苦痛ではなく快感を感じている時のソレであった。
「わぁ・・・赤ちゃん産まれたよ!ママ!!」
マコちゃんが嬉しそうに声を上げる。
そしてトロンとした恍惚の表情でママ(彼女)が答える。
「ええ、やっと産まれたわね。私の赤ちゃん♪」
なんだろう、短時間ではあったが自分のお腹の中で大きく育った俺を産み落とした事で母性本能でも芽生えたのだろうか?
俺を見る目つきが今までとは違う気がする。
「なぁ、葵・・・。」
「ちょっと!赤ちゃんは喋っちゃダメなの!」
マコちゃんからツッコミが入る。
「お、おぎゃぁ~!おぎゃぁ~~~!!」
俺は迫真の演技でそれに応えたのであった。
「はいはい、坊やはお腹ちゅいたのかなぁ?」
葵はまるで本当の赤ちゃんに接するかのように俺をあやし始めた。
そして彼女は胸をさらけ出すと、俺の顔をその乳房へと導いたのだった。
いつもよりも大きくパンパンに張った彼女の乳房が目の前にあった。
俺の口に彼女の乳首が押し当てられ、無理やり口の中に押し込まれる。
まさか出る訳ないよな?
そんな風に思っているとなんと乳首の先から母乳が溢れ出してきたのだ。
口の中に母乳の味が広がる。
ミルクを何倍も薄めたような、それでいてほんのりと甘いような。
俺にも魔法がかかっているのか、身体がそれを求めて口が勝手に動く。
ちゅぱちゅぱちゅぱっ!
夢中でおっぱいを求める俺を彼女が、いや、ママが優しい目で眺めている。
「ママ!赤ちゃん可愛いね!」
「そうね、マコちゃんの弟よ。マコちゃんもお姉ちゃんね。」
「わーい、私お姉ちゃんになったんだね。」
マコちゃんがニコニコしている。
「ねぇママ!わたしも抱っこしてみたい!」
「いいわよ、しっかり首を支えてあげてね。」
「はーい。赤ちゃんの名前は何て言うの?」
「えっとね、達也だからたっくんかな?」
俺の身体はマコちゃんに抱きかかえられる。
「私がお姉ちゃんだよ!よろしくね、たっくん。」
その後はオムツを替えるふりをしたり、また溢れ出るおっぱいを飲んだり。
しばらく遊んだ後、満足したのかままごと遊びはお開きとなった。
マコちゃんが呪文を唱えると俺の身体は無事に元の大きさへと戻ることが出来たのだった。
あの旅行からはもう随分と月日が経った。
俺たちは結婚し家庭を持った。
「ねぇ、たっくん。今夜もアレしようよ~♪」
妻となった葵がまるで子供に言うかのように話しかけてくる。
アレと言うのはあの日マコちゃんと遊んだママゴトの事だ。
葵がママ役で俺が赤ちゃん役だ。
あの日遊んだお礼にマコちゃんに魔法の呪文を色々教えてもらったのだ。
夜、ベッドに二人。
彼女がマコちゃんに教えてもらった呪文を唱える。
俺の身体は光り輝いてゴマ粒ほどに小さくなると葵の子宮へと吸い込まれていった。
あれから何度も訪れた場所だ。
俺も内側から魔法の呪文を唱えてあのフレーズを呟くのだった。
「痛いの痛いの飛んでいけ~!」
徐々に彼女の中で俺の身体が再び大きくなり、お腹が大きく張り出していく。
「ああ、愛しいたっくん。今産んであげるからね。」
彼女はお腹を優しく撫でながら子宮の中の俺に話しかけるのだった。
俺は夫であるが、それと同時に彼女の赤ちゃんでもあるのだ。
───後日。
今日は二人でお出かけデートだ。
「あら、おめでた?」
「ええ、男の子なんですよ。」
「元気な子が生まれるといいわね。」
外出先で知らないおばちゃんが話しかけてきた。
マタニティードレスを着た妻のお腹は大きく張り出している。
だが俺の姿は彼女の横には無かった。
何故なら彼女のお腹の中に居るのは俺だからだ。
マコちゃんに色々教えてもらった魔法の呪文で今日はママの中に留まっているのだ。