短編

勇者が振られた件

俺は勇者だ。魔王を倒すために聖女様と二人旅をしている。今のところ順調だ。男女の二人旅ということで、長い間旅を共にしているとどうしても恋愛感情というものが芽生えてきてしまう。そして俺はついに気持ちを我慢できずに聖女様に告白したのだ。結果、あっ…

トラックに轢かれて異世界へ

俺はしがないブラック社畜のサラリーマンだ。休みなく働き、毎日終電。そんな終わりのない日々をずっと過ごしていた。あまりの疲労に意識がボーっとしていて赤信号にも気づかずに横断歩道を渡ろうとしてしまった。そして今、俺のサラリーマン人生は終わりを迎…

縮小病

「え~、あの人?」「そう、あの人だよ・・・。」「やっだ~、まじで~!!」ヒソヒソ・・・。高校1年生。僕にはある持病があるのだが、それが原因で中学ではいじめに合っていた。それで知り合いの居ない遠くの高校に入ったのだが、それでも僕の病気の事を知…

秘め事

「それじゃ真君、楓の事よろしくね。楓、真君に迷惑かけちゃだめよ!」そう言うと亜美おばさんはいつもの様に仕事に出かけて行った。「ねぇねぇ、今日は何して遊ぼっか~?」「そうだな~。じゃあ、いつもの所で宝探ししようぜ!」それは小学校高学年の夏休み…

彼女のパンツ

「なぁ・・・お願いだっ!頼む!」「えぇ~~~!? でもでも・・・。だからって、それはちょっと・・・。」俺は土下座して一心不乱に彼女にお願いする。そして最後の一押しだ。「頼む! 君の事が好きだからもっと一緒に居たいんだ!!」「・・・わ、分かっ…

かくれんぼ

「も~い~か~い?」「ま~~~だ~~~だ~~~よ~~~!」やばい、急いで隠れなければ・・・。俺はこの春、特別枠で保育園の職員になったばかりだ。特別枠とは、特定縮小病患者支援法に基づいた採用枠のことである。近年、突然身体が小さくなる未知の病が…

山神様の恩返し

社会人になってからまともな休みも取れなかったが担当のプロジェクトが一息ついた頃、やっとまとまった休暇を取ることが出来た。季節は初夏に差し掛かっていた。昔から気になっていたあの夢についてはっきりさせたくて旅に出ていた。目的地は祖父の育った山奥…

仁奈太のアルバイト

俺の名前は朱里 仁奈太。今年から大学生だ。親父は海外に赴任中で、心配症の母は一緒について行っている。そのため今は自宅マンションに一人暮らしをしている。7月の前期試験も終わり、来月から2か月間の夏休みに入る。俺は自由に使えるお金が欲しくてアル…

とある夫婦の

「ねぇ、あなた。今晩どうですか?」妻からの夜のお誘いだ。結婚してから5年。子供はまだいない。最近は夜の営みもマンネリ化気味で、刺激が足りないのか途中でダメになってしまうことがたまにあった。さすがに妻には申し訳ないと思っており状況を打破すべく…